H30年条例予算特別委員会総会質疑

私は、公明党福岡市議団を代表して、平成30年度市政運営方針に沿って「持続可能な市政運営」について質問します。

  本市は、「都市の成長」と「生活の質の向上」の好循環を創り出すことを都市経営の基本戦略として、まちづくりを進めてきた結果、人口や来訪者数の増加及び企業の立地が進み、市税収入も4年連続で過去最高を更新しています。

  まさに順風満帆の福岡市政ですが、いま日本は超高齢化と人口減少に直面し、世界のどの国も経験したことのない未知の社会に突入しており、本市も例外ではありません。 

  福岡市の社会保障関係費は、近年増加の一途をたどっていますが、今後も、高齢化のさらなる進展にともない、相当膨れ上がっていくことは確実であります。 持続可能な市政運営のためには、今のうちから将来に向けて対策をしっかり打っておかなければならないと思います。

  このような視点に立って、「持続可能な財政運営」、新しい価値や時代に即したビジネスを生み出すまちづくりとして「スタートアップ」、人生100年時代を見据えた持続可能な社会づくりとして「福岡100」そして「持続可能な市政運営」について順次お尋ねしてまいります。

 

【財政局】

  •  まず、平成30年度予算における財政健全化への取り組みについてお尋ねします。本市の基本戦略である「都市の成長」と「生活の質の向上」の好循環を創り出していくには、何をおいても地方が自由に使える一般財源の確保が重要となります。

平成30年度一般会計における一般財源の額と29年度当初予算との比較並びにその主な要因についてお答えください。

 

<回答骨子>

・30年度 4,540億円,対29年度比 46億円(1.0%)の増

・主な要因 市税や地方消費税交付金の増など

 

 

 

 

  •  税収が増加しているということですが、平成29年度当初予算との比較で、その具体的な内訳を示してください。

 

<回答骨子>

・全体 357億円増(県費負担教職員に係る権限移譲に伴う税率変更の影響を除き97億円増)

・個人市民税 292億円増(県費負担教職員に係る権限移譲に伴う税率変更の影響を除き32億円増(納税義務者数の増等))

・法人市民税 29億円増(企業収益の改善等)

・固定資産税 26億円増(土地評価額の上昇及び新増築家屋の影響等)

 

 

 

 

  •  市税収入が実質的に97億円増加した一方で、地方交付税が80億円も減額されていますが、一般財源総額では46億円の増加が見込まれているということでした。ここ数年の決算を見ても市税収入は過去最高を更新し続けており、これは本市の成長戦略の効果が表れているものと思っています。

次に歳出面ですが、平成30年度一般会計予算案における医療や介護、福祉サービスなど、いわゆる社会保障関係費はいくらになるのか、また29年度当初予算との比較、並びにその主な要因について聞かせてください。

 

<回答骨子>

・30年度 2,664億円,対29年度比 62億円(2.4%)の増

・主な要因 就学前児童の教育・保育給付費や障がい児・者施設給付費等の増加など

 

 

 

 

  •  社会保障関係費とあわせて心配なのが、公共施設等の老朽化対策がありますが、今回は時間の関係で触れないことにします。

いずれにしても、社会保障関係費とアセットマネジメント事業費の大きな増加があり、台所事情は大変苦しいものと思います。そこで、30年度予算編成において、どのように財源を捻出したのかお聞かせください。

 

<回答骨子>

・財政運営プランの取組みの方向性を踏まえ,歳入の積極的な確保や行政運営の効率化などの取組みより財源を確保

 

 

 

 

  •  平成30年度予算における財源のやりくりは何とかできたようですが、問題は将来に向けてであります。

将来世代に過度な負担を残さないよう、まずは市債残高の縮減に取り組んでいかなければなりません。平成30年度末の満期一括積立金を除く全会計及び一般会計の市債残高の見込み,並びに平成29年度末の見込みとの比較について示してください。

 

 <回答骨子>

・満期一括積立金を除く全会計残高

30年度 21,054億円,29年度  21,529億円,475億円の減

・一般会計残高  30年度 11,990億円,29年度 12,055億円,65億円の減

 

 

 

  •  市債残高は、全会計、一般会計とも、これまで着実に縮減させてきており、平成30年度も縮減ということであります。

しかしながら、これからの超高齢社会を生き抜いていくためには、市債残高の抑制など将来負担の軽減だけでは十分ではありません。例えば,新たな財源の確保や従来型の社会保障システムの見直し、AIやIoTといった最先端の技術の活用など、抜本的な対策が必要だと考えます。

財政運営の最後に,超高齢社会において、持続可能な財政運営に向けて、今後、どのように取り組んでいくのか決意を聞かせてください。

 

<回答骨子>

今後の財政運営にあたっては,市民生活に必要な行政サービスを安定的に提供しつつ,重要施策の推進や新たな課題に対応するために必要な財源を確保できるよう,政策推進プランに基づき投資の選択と集中を図るとともに,歳入の積極的な確保や行政運営の効率化,既存事業の組替えなどの不断の改善に取り組む。

また,中長期的に,「都市の成長」と「生活の質の向上」のために必要な施策事業の推進により税源の涵養を図りつつ,超高齢社会に対応する持続可能な仕組みづくりやアセットマネジメントの推進,市債残高の縮減に向けた市債発行の抑制などにより,将来にわたり持続可能な財政運営に取り組む。

 

 

【経済観光文化局】

  •  財政局長から答弁があったように、税源の涵養と超高齢社会に対応する仕組みづくりが今後の市政運営には不可欠であると私も思っています。

そこで、新しい価値や時代に即したビジネスを生み出すまちづくりとして「スタートアップ」についてお尋ねしてまいります。

初めに、市内総生産でみる福岡市の産業構造について示してください。

また、その内、卸売業・小売業および情報通信業はどのような推移を示しているのか教えてください。

 

○福岡市民経済計算によると,平成19年度の市内総生産(名目)における

経済活動別構成比は,割合が高い方から順に,

「卸売・小売業」が24.5%

「サービス業」  が23.0%

「不動産業」    が10.3%

「情報通信業」  が  9.0% となっている。

○また,平成26年度については,

「サービス業」 が25.4%

「卸売・小売業」が19.3%

「不動産業」  が12.4%

「情報通信業」 が  9.3% となっており,

「卸売・小売業」の割合は,減少している。

 

 

 

 

  •  これまで福岡市の産業を支えてきた卸売業・小売業は減少傾向にあるようです。

私は、今後の福岡市をけん引していくのは、IT産業であると思いますが、本市はこれまでIT産業の振興にどのように取り組んできたのかお答えください。

 

○IT産業の振興については,IT系企業の集積のため,シーサイドももち地区にソフトリサーチパークを整備し,大手企業をはじめ,関係する企業などを誘致するとともに,最先端の技術セミナーの開催やIT系技術者の人材育成,IoTに関する企業間ネットワークの形成などに取り組んできた。

 

 

 

 

  •  シーサイドももち地区のソフトリサーチパークなど、時間をかけて強固なIT産業基盤を形成してきたということですが、これまでの取り組みの成果と本市におけるIT業界の特徴について聞かせてください。

 

○現在,ソフトリサーチパーク内には103社が立地し,5,610人が雇用されており,IT産業の一大拠点へと発展している。

○特徴としては,福岡市にはソフトウェア業などの情報サービス業やインターネット附随サービス業の事業所が約1,300社と多く,その年間売上高の九州におけるシェアは6割を超えている。

 

 

 

 

  • 福岡市は、IT産業の一大拠点へと発展し、市内の民間事業者が今日の情報社会を下支えしてくれています。

政府は、これまでの情報社会の先を行く、技術革新が開く未来社会を「超スマート社会」、いわゆる「Society5,0」と呼んでいるようですが、この「Society5,0」について簡潔に説明してください。

 

○内閣府によると「Society5.0」とは,AI・IoT・ビックデータなどの技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れ,「必要なモノ・サービスを,必要な人に,必要な時に,必要なだけ提供する」ことにより,様々な社会課題を解決する試みとされている。

 

 

 

 

  • 「Society5,0」により、今までにない新たな価値が生まれ、情報社会が抱える課題や困難を克服することができるようになるということですが、これまでの情報社会と何が違うのか教えてください。

 

〇今までの情報社会では、人間が情報を解析することで価値が生まれてきた。「Society5.0」では、膨大なビッグデータAIが解析し、その結果がロボットなどを通して人間にフィードバックされることで、これまでには出来なかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになるとされている。

 

 

 

 

  • 「Society5,0」の実現に向けた具体的な進め方について,政府は、「未来投資戦略2017」の中で、戦略分野への選択と集中や、新しい社会インフラとなるデータ基盤の構築、そして、まずはやってみるという実証による政策形成に舵を切ることなどをうたっています。

最近の新聞記事を見ると、AIやIoT、ビッグデータなどの技術革新が人々の暮らしや働き方など、社会構造を大きく変化させていることが嫌でも感じられます。

既存中小企業にとっても,近年の人手不足対策や,競争力強化のための生産性向上という観点から、IT技術の活用・普及の促進が重要な課題となっていますし、今後はそれに加えて,AIやIoT、ビッグデータなどの技術革新を活用することが必要となってきます。そのため、これらの技術革新を活用するために、どのように取り組んでいるのかお聞かせください。

 

○AIやIoT,ビッグデータといった技術革新の実装を促進するため,「福岡市IoTコンソーシアム」や「福岡AIコミュニティ」を設立し,市内企業を中心に会員企業間の交流促進や,実証実験支援などに取り組んでいる。

○最先端のIoT向け通信ネットワーク「Fukuoka City LoRaWAN」を提供して,市内はもとより,全国から先端技術の活用にチャレンジする事業者の集積を図っている。

 

 

 

 

  • 経済成長につながるようにしっかりと努めてほしいと思います。同時に、技術革新によって生み出されたものが、一般の人々の生活にまで浸透することで暮らしを大きく変えてほしいと思います。

先月、日経新聞が“スタートアップ東京大学”という特集を書いていました。これまで財務省など省庁や大企業に人材を送ってきた東京大学の進路に変化が起きている。東大というブランドが通用しないスタートアップを選ぶ卒業生が増えているようです。

(パネル掲示)

東大出身者が起業した主な上場企業ですが、東証一部に、マネックスグループ、ゴールドクレスト、ユーグレナなど、マザーズには、ケアネット、ミクシィなど、業種を見てもヘルスケ、IT,バイオなど様々です。

新しいテクノロジーにより、今までにない新たな価値観を目指していく社 会へと変化していく中で、スタートアップやベンチャーといったものが社会をけん引し始めている現状が分かります。

スタートアップの持つ新しいアイデアやテクノロジー、サービスといったものを社会へ組み込んでいくため、また、生活に取り入れていくために、本市はこれまでどのようにスタートアップ支援に取り組んできたのかお伺いします。

 

○まずは,スタートアップの裾野を広げていくため,国の施策や規制改革と福岡市独自の施策を組み合わせて,人と企業を呼び込むスタートアップ都市づくりに取り組んできた。

○また,29年4月には,市内に分散していたスタートアップ関連施設を旧大名小学校に集約し,スタートアップや支援の見える化を促進しながら,Society5.0に対応すべく,AIに関する勉強会やIoTに関する実証実験の実施,また,投資家や既存企業とのマッチングによるスタートアップの成長支援を行うなど様々な化学反応を起こす場として事業を展開している。

 

 

 

 

  • フクオカ・グロース・ネクストの開設以降、福岡市のスタートアップ都市としての評価がますます上がっていますが、同事業におけるこれまでの取り組みと成果について聞かせてください。

 

○フクオカ・グロース・ネクストでは,約170社が入居し,入居企業の約5割がIT,デジタルコンテンツ関連企業となるなど,スタートアップのイノベーションを生み出す拠点としての役割を果たしている。また,入居企業の資金調達額については,目標5億円に対して約26億円と,約8ヵ月間で5倍超の資金調達に成功しており,官民連携による成長支援を含めた施設運営が好調な状況。

 

 

 

 

  • 東大発のスタートアップについて、先輩の起業家は、「起業できる潜在力は高く毎年100社の東大発のスタートアップが生まれてもおかしくない」と高い評価の一方で、「一人で走り出すことが多く、優秀な頭脳や情熱を持ちながら挫折する姿も見てきた」として、起業・創業のエコシステム(生態系)を支える役割が必要と指摘しています。

 本市のスタートアップにしても「まだ、ムードが先行している状況もある」との声もあります。

起業家と地元企業との連携により、ビジネスを拡大させていくような仕組みや仕掛けづくりが必要と思いますが、スタートアップ施設も含め、今後の支援のあり方や施策の展望についてお答え下さい。

 

○スタートアップ支援施設は,スタートアップ都市・福岡を象徴する施設となっており,30年度以降もこの施設における順調な流れをさらに加速するため,今後10年間,旧大名小学校南校舎を活用することとしている。

○引き続き,スタートアップ支援施設を拠点とし,これまで以上に,地場企業との連携や資金調達の拡大などを集中的に支援しながら,地域のロールモデルとなる企業を生み出すとともに,福岡市から新しい価値を次々と生み出す起業・創業のエコシステムの構築を図り,都市の持続可能な発展に繋げてまいりたい。

 

 

都市の成長の果実が生活の質の向上に結び付くよう期待しています。

 

 

【保健福祉局】

  • 次に、人生100年時代を見据えた持続可能な社会づくりとして「福岡100」についてお尋ねしてまいります。

本市は、平成29年7月から「福岡100」プロジェクトを推進していますが、どのような取り組みなのか説明してください。

 

「福岡100」プロジェクトは、平成29年3月に策定した「福岡市健康先進都市戦略」の趣旨・方向性の実現に向けて、人生100年時代に即した持続可能な社会の仕組みを構築するため、行政だけでなく市民や企業、大学など様々な主体の参画を得ながら、産学官民 “オール福岡” で推進するもの。

プロジェクトの推進にあたっては、健康・医療・介護に加え、住まいや地域づくり、働き方なども含めた、広い意味でのまちづくりとして取り組む。

 

 

 

 

  • それでは「福岡100」の取り組みのベースになっている「健康先進都市戦略」について、策定の経緯とその概要についてお聞かせください。

 

保健福祉総合計画で示した基本理念や施策の方向性を具現化させ、超高 齢化と人口減少という未曾有の課題に対する未来志向の解を見つける挑戦に取り組む必要がある。

そのためには、施策の再構築に加え、行政施策の枠組みを超えた新たなサービスや仕組みの創出が不可欠であり、行政だけでなく市民や企業、大学など社会全体で取り組みを推進するための先導的で具体性を備えた戦略が必要と考え、策定したもの。

戦略は人生100年時代の到来を見据えて、一人一人が心身ともに健康で自分らしく生きていける持続可能な社会システムをつくるためのチャレンジリスト。

スタートアップ都市としての強み、地域の絆の強さ、都市の成長力などの強みを活かした取組みの方向性として7つの柱を示すとともに、それぞれの戦略の柱を牽引していくリーディング事業に取り組むこととしている。

 

 

 

 

  • 超高齢社会が進展すると,保健医療福祉ニーズは増大し多様化していく一方で、支え手となる、現役世代の割合が減少していくことから、社会的な負担や需給のバランスが崩れていくことが想定されます。

福岡市の財政状況は依然として楽観できる状況にない中、これまでの行政施策の枠組みの延長として税金を投入し続けるには限界があり、もはや行政だけの取組みでは社会のニーズに対応しきれないことは明白であります。「福岡100」の取組みはまさにこの課題認識に基づく取組みとだと思っています。

このような厳しい状況においてもしっかりと「生活の質の向上」を図っていくためには、スタートアップ都市という福岡市の強みを活かしながら、ICTやIoTなどの先端技術を最大限活用して生産性を飛躍的に向上させるとともに、データの利活用を徹底的に進め、様々な分野でイノベーションを起こしていかなければなりません。

そこで、戦略のリーディング事業についていくつかお尋ねします。

まずは、「ケア・テック・ベンチャーの拠点となるまち」という柱の中で、健康・医療・介護などの広い意味で人を「ケア」する領域でチャレンジするスタートアップ企業を支援すると打ち出されています。

生活の質の向上の一翼を担われる保健福祉局としては、「産業振興」という意味でのベンチャー支援ではなく、それが市民の健康寿命の延伸や介護負担の軽減などにいかに貢献できるかという視点での支援が重要だと思います。  

そこで、ケア・テック・ベンチャー支援の取り組みについて、その概要と現在の実証実験の状況について説明してください。

 

ケアの分野は現場の負担軽減や人材不足の解消などの課題を抱えているが、専門性が高いことに加え現場や業界団体との接点が少ないことなどがスタートアップ企業にとって障壁となっている。

そのため、スタートアップ企業が大企業などと協業したい事業を提案するコンテストを開催するとともに、実証実験フルサポート事業と連携して,家庭のトイレに尿の成分分析機器を設置し診断情報を通知する健康管理サービスや、便を観察する習慣をつけてもらうことで大腸がんの早期予防につなげるスマートフォーンアプリなどの実証実験を始めている。

将来的には,市民の生活の質の向上につながる新たなサービスが生まれることを期待している。

 

 

 

 

  • 次に、ケア・テック・ベンチャー支援の新年度の取組みについて教えてください。

 

スタートアップ企業と医療・介護事業者、投資会社などを引き合わせる枠組みや、事業プランの製品化に向けた短期集中的な支援プログラムをつくることにより、スタートアップ企業の参入を加速させ、ケア分野の課題解決につなげていきたい。

 

 

 

 

  • つい先日、アメリカのテキサス州で、テクノロジーとスタートアップ企業との祭典が行われています。受賞者の顔ぶれを見ると、技術を社会貢献につなげていこうとする企業がスタートアップのトレンドのようです。

グラブタブスという企業は廃棄食材から家畜の餌をつくる企業です。この企業はレストランが余らせた食材を回収し、それをハエの幼虫に食べさせ、豚や鶏のエサにしますので、顧客は地域の農家ということになります。評価の理由はレストランの食材廃棄のコストや農家の餌代が抑えられること。しかも、外食産業で大量に発生する廃棄される食材の削減という社会課題の解決に寄与するものです。

他にも、難民が資産を保管したり、移動したりできるサービスなど、ただ、儲けるだけではなく社会を良くするためにテクノロジーを使おうという意識が強まっているようです。

本市も、これまでの実証実験の成果を踏まえて、新年度に新たなサービスが提供できるよう期待しています。

次に、「制度やサービスの垣根を越えるまち」という柱の中で掲げられている、医療や介護などのデータの一元化と活用を進める「地域包括ケア情報プラットフォーム」の取組みについて、その概要と現状についてお聞かせください。

 

「地域包括ケア情報プラットフォーム」とは、これまで所管毎に断片的に 管理されてきた保健・医療・介護等に関するデータを一元的に集約するための情報通信基盤である。

現在約230種、22億6千万件のデータを集約しており、集約されたデータを分析することで、”地域ニーズの分析”や”課題の見える化”を行い、科学的根拠に基づく最適な施策の企画・立案を目指している。

データを分析する仕組みについては平成28年度より庁内関係部署での利用を開始しており、区役所では保健師が各地域の特性に応じた活動を行うため、担当校区の状況把握や課題の分析などに活用している。

その他にも集約されたデータを活用することで、医療・看護・介護に係る関係者間における多職種連携の仕組みや、配食や訪問理美容などの介護保険外サービス情報を提供する仕組みを構築している。

 

 

 

 

  • これまで集約されたデータを活用することで具体的にどのような分析が可能なのかお答えください。

 

データ分析システムでは人口、健診、医療、介護の4つの切り口で、それぞれグラフや地図を使って地域毎の現状を把握することができる。

具体的な分析事例としては、自治会区毎の高齢化率や転出入者数、疾患別患者数や介護認定者数といった現状分析に加え、健診受診者と未受診者の医療費の比較や、地域ごとにどの資源やサービスが、必要な人にどの程度不足しているかについての分析、重度要介護者の介護と過去に患った疾患との関係性の分析など、健診・医療・介護のデータを集約・統合したことによる多角的な視点からの分析が可能。

すでに保健師による地域保健活動の中で活用が始まっており、今後とも科学的根拠に基づいた保健福祉施策の企画・立案に向けて取り組んでいく。

 

 

 

  • すでに保健師による地域保健活動の中で活用などが始まっているということですが、新年度の取り組みについて教えてください。

 

科学的根拠に基づいた保健福祉施策の企画・立案を目指すことに加え、地域で不足する社会資源を把握できるような分析結果を広く公開することで、民間事業者による自律的なヘルスケアサービスの創出・拡充を促す取組み、いわゆるオープンデータの取組みについても進めていく。

その他、多職種連携や情報提供の仕組みについても、利用者の拡大に向けた取組みを推進していく。

 

 

 

  • 行政が持つ保健・医療・介護等のビッグデータを使った科学的根拠に基づく施策を形成し、市民や地域社会が必要とするサービスが必要なところに効果的に届くようになることは、限られた財源を有効に使う上でも大変重要であります。   

また、これらの分析データがオープン化されることは、市民や地域での取組みに役立つだけではなく、企業の新たなビジネスの創出にも大変有効であると思いますので、できるだけ早期の実現を期待したいと思います。

健康先進都市戦略の最後のページには、『福岡市の挑戦』として、「ここで挙げた7つの柱は、行政だけではなく幅広いプレイヤーと共に新たな発想や手法を取り入れながら推進していくものであることから、中には試行錯誤を伴うものや、多くの人々の合意や協力が必要なものも含まれています」と書かれています。

是非、失敗を恐れず「まずはチャレンジしてみる」ことを是とする空気が、市役所の中に広がることを大いに期待したいと思います。

福岡市が目指す健康先進都市を築いていくためには、健康・医療・介護分野を担う保健福祉局だけではなく、まちづくりや教育、コミュニティ、経済活動などハード面・ソフト面の各分野を担うすべての局と区役所も、「それぞれの施策が市民の健康に直接・間接の影響をもたらしている」という認識を持ち、全庁的に取り組んで行くことが重要だと思います。

広い意味でのまちづくりともいえる「福岡100」プロジェクトを、今後どのように推進していかれるのか、所見を伺います。

 

庁内においては、担当副市長をリーダーとして、関係局区長をメンバーとするプロジェクトチーム会議を立ち上げており、多くの関連局・区と連携・協力しながら必要な施策の構築と推進に庁内一体となって取り組んでいく。

 

「福岡100」について、最後に申し上げておきたいことがあります。

「人生100年時代」の到来が決してマイナスのイメージでとらえられてはいけないということです。保健福祉総合計画で打ち出された「配る福祉から支える福祉へ」というスローガンの下で、今後、拙速な事業の再構築がなされ、高齢者が不安を感じてしまうというようなことが決してあってはなりません。

戦略でも書かれている「長寿を心から喜べる街」づくりを目指すのであれば、高齢者が住み慣れた地域で、生きがいと尊厳をもって生き続けられるよう、高齢者の人権を尊重する雰囲気の醸成に努めていただきたいと思います。

そして、「福岡100」の取り組みの終着点には、高齢者人権条例の制定を目指していただきたいと要望しておきます。

 

 

 

 

 

  • ここまで「0」や「福岡100」に関して、AIやIoTといったICTをいかに活用して取り組んでいくのかをお尋ねしてきましたが、これらの取り組みを通して得られるデータや、また既に行政が保有しているデータの活用について、お尋ねします。

政府は、平成28年に「官民データ活用推進基本法」を策定し、「国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与する」ため、官民データの適正かつ効果的な活用に関する事項について定めています。

福岡市では、既に、行政が保有するデータを2次利用可能な条件で公開する「オープンデータ」の取り組みを始めていますが、これまでの取組み内容について教えてください。

 

・福岡市では平成26年10月に「福岡市オープンデータサイト」を開設。

・現時点で175種類のデータを公開。(統計情報,施設の位置情報,インフルエンザなどの感染症の流行情報など)

・オープンデータサイトの他都市との共同利用や,データのフォーマットの共通化といった他都市との連携にも取り組んでいる。

 

 

 

 

  • 政府の「官民データ活用推進基本法」では、市町村における官民データの活用推進に係る計画の策定が努力義務として課されていますが、本市は政令市ですから策定すべきであります。

さらに、民間のニーズに即したオープンデータの取り組みや民間データとの組み合わせを含めた活用を促進することで、データの価値向上と多様なサービスの出現に貢献していただきたいと思います。

今後の福岡市におけるデータの活用をどのように進めていくのか、聞かせてください。

 

・外部有識者の知見等も得ながら,福岡市におけるデータ活用の方向性や取組みを整理した「福岡市官民データ活用推進計画」を平成30年度中に策定。

・また,民間事業者のデータ利用ニーズを把握して,オープンデータの更なる充実・活用事例の創出を図る。

 

 

 

 

  • 超スマート社会「0」に対応した市役所システムの実現にしても、人生100年時代を見据えた持続可能な社会づくりにしても、どう考えても一つの局での対応で収まるものではありません。

よく縦割り行政の弊害と言われますが、縦割りの組織にもいいところはあります。これまでの経験や仕事のやり方が蓄積され、徹底的にしりつくしていまから、縦割りの組織であると極めてやりやすいということもあります。

しかしながら、そのような組織が向いているのはどちらかというと仕事の在り方があまり変わらない時であり、時代の転換点にはこのような縦割りの組織は極めて動きが鈍く見えるようになります。

「Society5.0」にしても「福岡100」にしても、市役所全体での取り組みが求められています。

そこで、行政の組織体制やシステムづくり、さらにそれを支える職員の人材育成について、どのように考えているのかお答えください。

 

・時代の転換点にあっては,これまでの行政運営の仕組みや手法にとらわれず、柔軟に対応していくことが必要。

・このため,課題に応じて全庁横断的な推進体制の構築や、産学官民による連携・共働に取り組むとともに、「自ら考え,自らチャレンジする職員」の育成に向けた意欲・能力向上を進め、行政課題に的確に対応していく。

 

 

 

  • 公明党福岡市議団は,代表質問において,昨年に引き続き,持続可能性を握るカギとしてSDGsを取り上げました。「誰一人取り残さない」を合言葉に,世界で,そして我が国においては,内閣府に推進本部が設置され、着実に取組みが進められています。

実際に、NPOや民間企業、自治体でもSDGsを意識した取組みが始まっていますが、SDGsに対する福岡市の取組みについてお尋ねします。

 

・国は,平成28年に「持続可能な開発目標実施指針」を策定。

・福岡市は,平成24年策定の総合計画に掲げる,「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」,「経済的な成長と安全・安心で質の高い暮らしのバランスがとれたコンパクトで持続可能な都市づくり」は,SDGsが掲げる理念と方向性を一にしているものと認識。

・SDGsの推進という観点からも,総合計画の着実な推進を図っていく。

 

 

 

  • 答弁されたように,SDGsは,経済・社会・環境を調和させる統合的な取組みを促すものです。行政の施策も経済・社会・環境のつながりを統合的に考え、先進的な技術や知見を積極的に取り込みながら推進してこそ,本市が目指す「人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」により近づくことができるのではないでしょうか。

私は、SDGsに取り組んでいくことによって縦割り組織の弊害を打ち破るヒントが見つかるのではないかと期待しています。

SDGs推進のための庁内推進体制を構築していただきたいと思います。所見を伺います。

 

・総合計画に掲げる都市像の実現に向けて,各局が連携しながら施策事業に取り組んでいる。

・「福岡100」プロジェクトチーム会議など,庁内横断的なプロジェクトチームや産学官民での推進体制を必要に応じ構築。

・今後も,施策の推進に必要な体制を柔軟に構築していく。

 

 

 

  • 昨年、民間の研究所が発表した「成長可能性都市ランキング」で福岡市は“成長ポテンシャル第1位“の評価を得ました。

先日、天神のある書店で「福岡市が地方最強の都市になった理由」という書籍が棚一面に並べられていました。

著者である木下斎氏は、「福岡市は官民挙げて新たな技術を積極的に採用し、発展に繋げてきたとしています。

このように福岡市が高く評価されているのは、我々の偉大な先人の「知恵と情熱」そして「覚悟と行動」の賜物であります。

そして、次の、福岡のステージ、つまり、成長可能都市から名実ともに成長都市となるための指揮を執るのは高島市長であります。

最後に高島市長に持続可能な市政運営について決意をお伺いして質問を終わります。