令和2年度10月7日
決算特別委員会 議案質疑(後半)
黒子秀勇樹
私は公明党福岡市議団を代表して,令和元年度の決算概要に少しだけ触れて,「PFIおよび指定管理者制度の事業者選定について」「ユニバーサルデザインタクシーの導入促進」さらに、「学校給食の食材について」質問してまいります。
1.令和元年度決算を見ると,新型コロナウィルス感染症の影響は殆どなく,一般会計は約93億円,特別会計は約38億円の黒字となっています。
財政状況を客観的に判断する指標である健全化判断比率を見ても,「実質公債費比率」は10.2%,「将来負担比率」は112.3%といずれも前年度より改善しています。
しかしながら,議会へ提出された資料をよく見ると,「経常収支比率」は92.9%となっており,前年度の91.9%より1ポイント悪化しています。
そこで尋ねしますが,この「経常収支比率」とはどのような指標ですか。
【財政局】
・経常収支比率は財政構造の弾力性を示す指標で,義務的経費等の経常的経費に要する一般財源が,市税,地方交付税等の経常一般財源等に占める割合で算出。
・比率が高いほど経常余剰財源に余裕がなく,財政構造が硬直的であることを示している。
2. 財政構造の弾力性を示す指標であるということですが,令和元年度決算で悪化した要因をお答えください。
【財政局】
・義務的経費である扶助費に要する一般財源の増加などにより悪化。
3. 今後は,新型コロナウィルス感染症の影響により市税収入が減少するとともに,扶助費の更なる増加が見込まれることから,「経常収支比率」が更に悪化し,財政構造が硬直化していくと懸念されます。
これから,令和3年度の予算編成を行っていくわけですが,新型コロナウィルスの影響もあり,税収の大幅に減少が見込まれる中,感染拡大防止を徹底しつつ,落ち込んだ地域経済を再生させていかなければなりません。予算編成の考え方をお尋ねします。
【財政局】
・ご指摘のとおり,令和3年度は新型コロナウィルス感染症により,7年連続で過去最高を更新してきた市税収入が大幅に減少する見通しであることや,社会保障関係費の更なる増加が見込まれ,近年にはない非常に厳しい財政収支となる見通し。
・3年度予算編成に向け,その動向を引き続き注視するとともに,持続可能な財政運営の視点を念頭に置きながら,徹底した事業の選択と集中や,より一層の歳入の確保等に積極的に取り組む。
4. そのような状況を踏まえると,事業の選択と集中はもとより,事業を実施する場合でも,PFIや指定管理者制度を活用するなど,民間の資金やノウハウを活用しながら効率的に事業を実施していく必要があります。
このような視点に立って,「PFIおよび指定管理者制度の事業者選定について」質問してまいります。
本市は,平成24年度に「官民協働事業への取り組み方針」を定め,財政負担の軽減・平準化を図りつつ市民に対し良好なサービスの提供を実現するため,科学館,総合体育館の整備や美術館のリニューアルなど,全国の自治体に先駆けてPFIを活用しながら実施しています。
そこで,PFIを活用した事業の取組方針を定めた平成24年度から昨年度までの実績を示してください。
【財政局】
〇昨年度までに公募を実施した事業は,
平成24年度1件,
平成26年度3件,
平成27年度5件,
平成30年度3件,
令和元年度 1件の,合計13件である。
5.これまでPFIを活用して13件の事業を実施したということですが,13件の入札状況はどのようになっていますか。
【財政局】
〇入札参加者の状況は,13件中7件は複数から,6件は1者からの入札となっている。
6.昨年度実施した拠点文化施設整備事業および須崎公園再整備事業の入札方式と応募者数を教えてください。
【経済観光文化局】
○入札方式は総合評価一般競争入札。
○3グループからの入札参加表明があった。
7.落札業者の総合評価点の結果についてお答えください。
【経済観光文化局】
○性能評価点は850点満点中,504.06点。価格評価点は150点満点中,150点。総合評価点は1000点満点中, 654.06点。
8.1,000点満点で654,06点。【パネル1】
得点率にすると65,4%となりますが,この点数を評価してください。
【経済観光文化局】
○総合評価点は,事業者検討委員会の審査による性能評価点と市の審査による価格評価点の合計点数となっており,事業者検討委員会からは「本事業の目的や特性を十分に理解し,本事業に対する意気込みを強く感じ るもので,高く評価している」との総評をいただいており,適正な評価と考えている。
9.高く評価しているということですが・・・。
私が学生時代の成績評価は優・良・可・不可でした。
60点未満は不可。単位がもらえません。落第です。
60点以上は可。何とかギリギリ単位はもらえます。
70点以上だと良。
80点以上だと優となります。
総合評価点654,06点。得点率65,4%。
優・良・可・不可で判定すると可となります。
性能評価の得点率だと59,3%ですから,不可。落第です。
それでは,事業者選定(落札者の決定)までの流れを説明してください。
【経済観光文化局】
○平成31年4月1日に,入札公告,
令和元年6月5日に,入札参加表明及び入札参加資格確認申請書を受付,
8月7日に,入札参加資格確認通知を送付
9月4日に,入札及び入札書類を受付,
令和2年1月27日に,入札参加者プレゼンテーション,を経て
翌28日に,落札者の決定をおこなった。
ここから、【パネル2】を使いながら質問を進めていく。
10.H31.4.1入札公告し、
R元.6.5入札参加資格書類の受付け,入札参加資格の確認を行っています。
この時点で、参加条件を満たした事業体は何グループでしたか。
【経済観光文化局】
○3グループから入札参加表明があったが,入札参加資格確認通知の前に,1グループから辞退の申し出があり,残り2グループについて参加資格を有していることを確認した。
11.この時点で入札参加資格を有する事業者は2グループになっています。
その後,R元.9.4提案審査書類の受付を行っています。この時点で、提案審査書類を受付けた事業体は何グループでしたか。
また,提案書類を受付けた後の提案審査はどのように進められるのかお聞かせください。
【経済観光文化局】
○入札参加資格を有する2グループのうち,1グループから辞退の申し出があり,残り1グループから入札書及び提案審査書類の提出があったもの。
○また,提案審査の進め方については,市において「入札価格の確認」後に,「基礎審査」を行い,事業者検討委員会による「性能審査」を経て,市による「価格審査」を行って,総合評価点の算定を行うもの。
12.結局,提案審査は1グループとなっています。
それでは,提案審査において最初に行う「入札価格の確認」と「基礎審査」についてどのようなものなのか具体的にお聞かせください。
【財政局】
○入札価格の確認は,入札価格が予定価格の範囲内であることを確認するもの。
〇基礎審査は,市が事業者に求める最低限満たさなければならないサービス水準,いわゆる要求水準を満足していることを,提案書をもとに市が確認するもの。
13.それでは、価格評価点の算定式を示してください。また、入札予定価格と落札価格、落札率を示してください。
【経済観光文化局】
○価格評価点は,提案のうち最も低い入札価格を当該入札参加者の入札価格で割り戻し,150点を乗じたもの。
○いずれも税抜き価格で,入札予定価格が約209億7,500万円,落札金額が約208億7,100万円,落札率が99.5%。
14.落札率が99,5%にもかかわらず,価格評価点は150点。【パネル1】
得点率100%です。
この算定式だと入札参加業者が1グループの場合必ず満点になるのではないですか。
【経済観光文化局】
○落札者決定基準に示した算定式により価格評価点を算定すると,1グループのみの入札となった場合は満点となる。
15.この算定式だと入札参加業者が1グループの場合必ず満点になります。
ですから,この算定式は,1グループの入札を想定していないといえます。
それでは,今回のように,1グループの入札で,基礎審査まで通過したグループの性能評価点が仮に,「0点」だった場合には,このグループは落札者となりますか。
【財政局】
〇1グループの入札の場合には,仮に性能審査における加点が0点であっても,基礎審査を通過しているため,落札者となる。
16.これはおかしくないですか。つまり,入札が1グループで、基礎審査を通過していれば,総合評価点が「0点」でも落札者になるのです。なんのために性能審査をするのかよく分からない。
そうなると,落札できるかできないかを左右するのは,基礎審査ということなり,基礎審査が非常に重要なものとなります。
この重要な基礎審査は誰が行っているのかお答えください。
【財政局】
○基礎審査については,事業者検討委員会の事務局である事業所管課が行った上で,事業者検討委員会に基礎審査の結果を報告している。
17.それではいわゆる身内だけの審査になるのではないかと思います。
1グループの入札の場合は,実質的に基礎審査だけで落札者が決まることになります。そうであるならば,基礎審査の透明性を高めるべきであります。所見を求めます。
【財政局】
○第三者を含む事業者検討委員会においては,性能審査にあたり,基礎審査で確認している要求水準をどの程度上回った提案がなされているかについて評価を行うこととなる。
○このため,実質的には基礎審査の内容も第三者によるチェックを経た上で,落札者の決定が行われる。
18.実質的には基礎審査の内容も第三者によるチェックを経ているということですが,基礎審査の状況がわかりにくいのは疑念を生むきっかけになります。
先ほど述べたように,1グループの入札の場合には,実質的に基礎審査だけで落札者が決定してしまいます。
この基礎審査もいわゆる身内以外の第三者である事業者検討委員会が行い,その過程や結果についても透明性を高めるべきであると指摘しておきます。
入札参加事業者にとっても正当な評価を望まれていると思います。
基礎審査をクリアしたということは、その時点で及第点です。
先ほどの優・良・可の評価でいえば60点ですから「可」です。
さらに、評価点の得点率が59,3%ですから、その分を上乗せすれば「優」判定となります。
市民にとっても,入札参加事業者にとっても,より分かりやすく,理解の得やすい評価結果の説明が必要と考えますが,所見を求めます。
【財政局】
○PFI事業の事業者選定における評価方法などについては,これまでも改善を積み重ねながら取り組んできたところ。
〇市民や事業者にとってより分かりやすいものとなるよう,基礎審査を事業者検討委員会に行っていただくことや,基礎審査結果及び評価点の表現方法について,更なる改善を検討する。
次に指定管理者制度についてです。
- 指定管理者制度が導入されてから15年以上が経過し,大きな岐路に直面しているといわれています。まず,福岡市における,指定管理者制度の目的とこれまでの成果をお聞かせください。
【総務企画局】
・目的 民間ノウハウの発揮による市民サービスの向上と運営の効率化
・成果 令和2年4月現在390施設で導入。開館時間の拡大など市民サービスの向上に寄与。
- 制度の目的である市民サービス向上のためには,サービスの提供者を民間事業者等から幅広く求める必要があり,より優れた提案を引き出せるよう,選定における競争性を確保することが重要であると考えます。
近年,指定管理者の応募者数が減少していることを懸念しています。
指定管理者の公募について,過去3年間における応募者数の状況をお伺いします。
【総務企画局】
・過去3年間に選定した案件のうち,新規公募を除く36件について,
前回公募時と比較して,応募者数が減少したものが20件(約55.6%)。
- 前回公募時と比較して約6割の公募で応募者が減少しているということですが,応募者数が減少している要因について,事業者の意見を把握されていますか。
【総務企画局】
・平成30年度に参画意欲のある事業者との意見交換を行ったところ,「募集に関する情報が少ない」,「募集期間が短い」といった公募方法に関する意見や,
「社会経済情勢を予測して応募しているが,予測を超えるコストアップは対応が困難」など,管理運営のリスクに関する意見があった。
- 事業者は不確実な事態についてリスクを感じているということであります。
指定管理者制度における指定管理者のリスクとはどのようなことですか。
【総務企画局】
・リスクとは,複数年にわたる指定期間中に,事前にその影響を正確に想定できない不確実性のある事由により,指定管理者に損害等が発生する可能性のことである。
- 地方自治体と指定管理者との間において、詳細な内容を明確にするのが「協定」です。
応募者が減少してきている原因の一つに契約書にあたる「協定」に関する不明確さや曖昧さが指摘されています。
リスク分担について,指定管理者との「協定」においてはどのように取り扱っているのかお伺いします。
【総務企画局】
・施設ごとに取り交わす協定書に添付するリスク分担表において,リスクの内容ごとに負担者を定めているが,不確実性が高く市と指定管理者の負担を前もって決定することが困難である事項は,市と指定管理者の両者協議によることとしている。
- これがリスク分担表というものです。【パネル3】
リスクの種類,リスクの内容について,自治体と指定管理者のどちらが負担するのか星取表になっています。
「両者協議」という項目がいくつか見られます。
「協議」するということは,法律的に言えばどのようなことを言うのか。
【総務企画局】
・「法令用語辞典」(学陽書房)によると,「法令上用いられる場合は,協議をする者がお互いに自己の主張するところについて相手方の納得を得るまで十分に説明し,相互の意思を通じ合い,意見を交換した上で一定のことを行うことを前提として用いられることが多い」とされている。
- 「協議」するということは,話し合うことだけが決められていて,契約時点では何も決めていないということであり,事業者にとって曖昧に映るようです。
ある意味,「協議」するということは,適切なリスクを判断しないままで,「ぜひ参入してください」と言っているに等しいことになります。
星取り一覧表にするだけではリスク分担を検討したとはいえず,事業者は参入するかしないかの判断を行うことはできないと思います。
福岡市では,どの施設でも同じようなものを使用しているようですが,各施設ではどのようにしてリスク分担表を作成しているのかお答えください。
【総務企画局】
・「指定管理者の指定の手続に関するガイドライン」において,リスク分担標準例を示しており,各施設ではこれを参考に各施設の特性に応じ作成することとしている。なお,ガイドラインには,あらかじめ担うべき責任とリスク等について可能な限り明確化しておく必要がある旨記載しているところ。
- 一つでも「両者協議」という事項を減らしていくことが重要だと思います。
福岡市では,「管理運営業務の変更・中止等のリスク」に関して,自然災害に基づくものについては「両者協議」としていますが,これに対し
神戸市のある施設の例では,「市と指定管理者の双方の責めに帰すべき事由がない」場合において,単に「両者協議」と記すのではなく,事業続行・変更計画の提出の責任,その承認や解除権がどちらにあるかなど,協議の手順にあたる事項まで一歩踏み込んでリスク分担表を分かりやすくしている。
福岡市においても,参入を検討する事業者にとってわかりやすいものとなるよう,リスク分担表の項目をより明確化する必要があると考えますが,所見を求めます。
【総務企画局】
・リスク分担表については,可能な限り明確化を図りながら指定管理者の負担に配慮して協議事項を設定してきたところであるが,他都市の事例なども踏まえ,より分かりやすいものとなるよう努める。
27.先の台風10号は新たな課題を浮き彫りにしました。多くの人が避難所に殺到し、各地で定員越えが発生し、新型コロナ対策で収容定員を減らしていた各自治体は避難所を増設しています。
公の施設と指定管理者との関係は平時を基本としており,災害時など危機の時にいかなる関係として位置付けるかは重要な課題であります。
重ねて新型コロナの影響は、災害時における公の施設のあり方を根本から問い直しています。
福岡市の「指定管理者の指定の手続きに関するガイドライン」は平成27年1月の策定であり,社会経済情勢の変化を反映できていないと思われます。
大規模災害やコロナ禍の影響を踏まえ,ガイドラインの見直しに取り組むべきと考えますが所見を求めます。
【総務企画局】
・指定管理者の指定の手続き等については,社会経済情勢の変化を踏まえ,ガイドラインの見直しや通知の発出,研修の開催など,最適な手法により改善を図ってまいりたい。
- PFI事業と指定管理者制度の選定のあり方について、高島市長にお尋ねしてこの質問を終わります。
【市長答弁】
・PFIや指定管理者は,民間のノウハウを活用し,財政負担の軽減と平準化を図りながら,良質な公共サービスを供給していくために有効な方策。
・事業者参画の促進や,選定過程をより分かりやすくすることは非常に重要であり,今後とも事業者が安心して参画できるような環境を整えるとともに,市民に分かりやすい事業者の選定となるよう不断の改善を図りながら,制度を活用していく。
次に,ユニバーサルデザインタクシーの導入促進についてお尋ねします。
1. 福岡市においては,「みんながやさしい,みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標像として掲げ,市政の柱の一つとして推進しています。
公共交通については、高齢者や障がいがある方をはじめ,誰もが安全で安心に移動できる交通環境づくりを進めるために,かねてより鉄道駅のバリアフリー化やノンステップバスの導入促進などに取り組んできています。
一方で、タクシーについては、ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)の普及を目指して,令和元年度より補助制度が創設されています。元年度における補助の実施状況をお答えください。
【住宅都市局】
- ユニバーサルデザインタクシーの普及を目指し、公共交通バリアフリー化促進事業の一環として令和元年7月より導入費用に対する一部補助を開始している。
- 実施にあたっては、利用者の利便性向上を図るため、キャッシュレス化や配車アプリの導入を条件としており、令和元年度は129台のUDタクシー車両の購入に対して補助金を交付し,決算額は2,580万円である。
2. 補助を開始されたことにより,市内を走るUDタクシーも増え,私も何度か乗車する機会がありました。福岡市内でのUDタクシーの導入率をお聞かせください。
【住宅都市局】
- 令和元年度末時点において,市内で登録されている営業車両 約4,600台のうち
473台がUDタクシーであり,その導入率は約10%である。
3. 福岡市内を運行するタクシー車両の10台に1台がUDタクシーということになります。では,国の数値目標はどのようになっていますか。
【住宅都市局】
- 国の「移動等円滑化の促進に関する基本方針」では,令和2年度末までにUDタクシーを含む福祉タクシーを全国で約4万4千台導入することが目標とされており,これは全国のタクシー車両の約20%相当となる。
4. 福岡市内においては,元年度の状況からは,2年度末までに国の目標(約20%)まで到達することは、現状では困難と思います。
一方,国の令和3年度以降の数値目標はどのようになっていく見込みなのかお聞かせください。
【住宅都市局】
- 国が令和2年7月に示した次期目標の中間とりまとめによると,現行の目標値約4万4千台は達成の見込みであることから,目標値の引き上げという方向性が示されている。
5. 国も継続して導入の促進を図っているようです。
福岡市も引き続き,補助事業を継続し,導入を促進するべきと考えますが,お伺いします。
【住宅都市局】
- 令和2年度は,新型コロナウィルスの影響により,事業者において車両更新を一部見送られたことなどもあり、補助の申請も当初予定を下回っている状況にあるが,令和3年度の補助制度の継続については,今後の事業者の導入動向や本市の財政状況等を勘案しながら引き続き検討を行っていく。
6. 新型コロナウィルス感染拡大は,タクシーの他,バス・鉄道等も含めた公共交通全般に大きな影響を与えています。
また,UDタクシーの導入などといった,事業者にとって投資をともなうバリアフリー化の進捗にも多大な影響を及ぼすものと考えます。
コロナ禍における公共交通機関の利用者数の動向についてお答えください。
【住宅都市局】
- 乗車人員の前年同月比を見ると,
- 市営地下鉄は, 4月は約5割の減,7月は約3割の減。
- 西鉄バスは,本社直営分で,4月は約6割の減,7月は約3割の減。
- 西鉄電車は,全線分で, 4月は約5割の減,7月は約2割の減。
- タクシーは,福岡交通圏で,4月は約7割の減,7月は約4割の減。
7. 公共交通事業者は非常に厳しい経営環境にあると痛感します。
このような中,公共交通事業者には,消毒・換気といった感染拡大防止策に取り組んでもらいながら,一方で,市民にとって必要不可欠な移動サービスについて,継続して提供してもらっている状況があります。
このような事業者に対して,福岡市はどのような支援を行ったのかお聞かせください。
【経済観光文化局】
- 公共交通事業者への支援については,緊急事態宣言のもとにあっても,市民生活に必要なサービスを安全に提供し続けるなど,一定の要件を満たした休業等要請対象外施設への支援として,法人15万円,個人事業主10万円を支給しており,多くの公共交通事業者にも活用頂いた。
8. 福岡市のこうした取り組みは,事業者からも大変喜んでもらっています。今後,コロナ禍を踏まえた中長期的な視点での公共交通のあり方としては,感染拡大防止の観点に加え,市民の外出や消費行動を活性化させ,経済を好循環させる仕組みを作っていくようなことも重要であると考えます。
例えば、北海道では、「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」を実施しており,鉄道・バス・タクシーなどの交通事業者の発行する乗り放題乗車券やクーポン券等の約3割を助成しています。
この質問の最後に、今般のコロナ禍の状況も踏まえ,今後の公共交通のあり方についてどのように考えるか,所見をお伺いします。
【住宅都市局】
- 国が令和2年8月に示した「新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性」によると,今回の新型コロナ感染症拡大により,公共交通の利用への不安や在宅勤務を推奨する動きが進んだ結果,公共交通利用者が減少しており,今後は,利用者の感染リスクも踏まえた人の適切な密度やそれを保つ施設のあり方のほか,引き続き公共交通の維持なども検討が必要とされている。
- 公共交通は,都市活動を支え,市民に必要不可欠な移動手段であり,本市はこれまで「公共交通を主軸とした総合交通体系の構築」や「誰もが安全で安心に移動できる交通」を目指し,取り組んできたところである。
- 今後は,それらに加え,時差出勤による分散化といった3密回避策とともに,さらなる公共交通の利用促進に努めるなど,新型コロナ危機を契機として生じた変化に対応していくことが必要と考えており,引き続き,今後の動向も注視しつつ,交通事業者と連携して取り組んでいく。
最後に,学校給食の食材について,お尋ねします。
1.まず初めに,小学校,中学校,特別支援学校の学校給食の運営にかかる費用について、令和元年度の決算額を示してください。
【教育委員会】
・給食運営費の令和元年度の決算額については,
小学校…5,189,989千円余
中学校…2,606,948千円余
特別支援学校…151,372千円余
2. 子どもたちの食生活を取り巻く環境は大きく変化しています。偏った栄養摂取や,肥満傾向など,健康状態について多くの懸念が見受けられる今日では,学校給食は重要な役割を果たしています。
福岡市は「安全・安心でおいしい給食」の提供に努めていると聞いています。成長期にある子どもたちに,栄養バランスがとれ,かつ,安全・安心な給食を提供するために,普段,どのような食材を使用しているのか。学校給食における食材の産地をお答えください。
【教育委員会】
・地産地消の観点から,市内産,県内産,九州産,国内産の順で調達に努めている。
3. 地産地消の観点から,食材の調達をしているということですが、地産地消を推進するために,どのように献立を作成しているのかお聞かせください。
【教育委員会】
・市内産農水産物の生産状況などを踏まえ,農産物については,JAなどの関係団体と,水産物については,福岡市漁業協同組合と協議し,市内産の食材をどのように活用できるかを検討している。
4. 新型コロナウィルスの感染拡大の影響で,国産の牛肉や野菜・果物・水産物などで在庫の滞留や価格の低下などが生じているようです。
このような中,農林水産省は,今年度の補正予算に「国産農林水産物等販売促進緊 急対策事業」を盛り込み支援しています。事業のポイントについて簡潔に説明してください。
【教育委員会】
・新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け,インバウンドの減少や輸出の停滞などにより,売上の減少や在庫が生じている品目について,農林漁業団体などが行う販売促進の取り組みを支援するもの。
5. 本事業は学校給食にも活用できるということです。
新潟県では,県産のブランド牛である「にいがた和牛」の需要が減少していることを受け,県内の学校給食に提供する取組みを9月から開始しています。
保護者の負担なく,普段給食では使用しないような単価の高い食材を使用できる事業と聞いています。
福岡県にも博多和牛といったブランド牛があります。
「食」というのは体験することが重要であり,地元で生産されたものを食べることは,子どもたちにとって良い経験となり,地産地消の促進にもなると思います。
本市においても,この事業を活用し,和牛はじめ,ぶり・鯛・穴子などの水産物についても給食として提供してあげてほしいと思います。所見を伺います。
【教育委員会】
・福岡市においても,本事業を活用し,県産の和牛や魚を使った献立を提供する予定。
6. 九州には多くの特産品があり,宮崎県では本事業を活用し,宮崎県内に限らず,他県へも特産品である鰻を学校給食に提供していると聞いています。
せっかくの機会であり,食育の観点からも,九州産の食材についても積極的に検討し、導入していただきたいと思います。
最後に,星子教育長の「子どもたちの笑顔が輝く」ような答弁を期待して質問を終わります
【教育委員会】
・学校における食育の推進においては,学校給食は生きた教材であり,福岡県産や九州産の食材をはじめ,様々な地域の産物や歴史など食文化の理解を身につけることは重要である。
・様々な経験を通じて,食に関する知識を幅広く習得することが出来るように,学校給食の献立を工夫するとともに,議員ご提案の宮崎県産のウナギの提供など,様々な地域の食材の提供について検討していく。